ぶきっちょ
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千夏ちゃんと別れて、バス停へと向かう。
『由香里と喧嘩しちゃったんだ』
そう言って少し悲しそうな顔をした千夏ちゃん。
俺は優しく、慰めるように頭を撫でた。
けど気になって仕方ないのは、千夏ちゃんじゃなくて浜口さんだった。
浜口さんが誰を引きずっているのか。
ずっと前の遠距離の元カレか。
卒業してからしばらく経ったし、誰をと何かあったのか。
それとも………。
「最悪だ」
そう一人呟いて、俺は首を振った。
けど、どうしても気になってしまう。
だってもし、俺の考えたことが答えなら……
千夏ちゃんたちに言えない理由も納得できるし。
でも、だとしても。
俺にはもうどうすることもできないのに。