ぶきっちょ
「あ、吉村さん!!」
次の日。
千夏ちゃんを送り届け、バスから降りた後。
家の近くで声をかけられて立ち止まる。
辺りを見渡すと道の反対側に制服姿の中学生。
つい最近まで俺の通っていた学校の制服を身に纏った、バド部の後輩がいた。
俺が気付くと、彼は道を横切って駆け寄ってくる。
「お久しぶりっす。元気すか?」
笑顔で俺に問いかける彼は、二年になったからか少し大人びたように見える。
「おう」
俺は軽く挨拶を返す。
ふと、この時間帯に下校していることを疑問に思って尋ねる。
「今帰り?遅くね?」
俺の問いに彼は少しはにかむ。
「ちょっと、寄り道してたんで」
ピンと来た俺はすかさず突っ込む。
「お?彼女か?」
そう言って肘でこづくと、彼はさっきよりも少し頬を赤らめる。
「まぁ……あ、吉村さんの学年の浜口さんの妹なんすけど」
彼は思い出したように言う。