ぶきっちょ
友貴
テストが終わった教室は、皆が開放感に溢れている。
丁度今日は学校の会議かなんかで、全ての部活も休み。
周りの奴らも輪になって今からどこへ遊びに行くか、なんて話している。
俺はいつもどおり友貴と町にでも遊びに行こうと考えていた。
「友貴、今日どこ行く?」
しかし、友貴の答えは予想外なもの。
「千夏ちゃんとどっかいけよ。俺先約あるし」
そういえば、桜高も今日でテストが終わりって言ってたっけ。
「先約って?」
俺が聞き返すと友貴が笑顔で言う。
「デート」
「は?」
俺はあまりに驚いて友貴の顔をまじまじと見つめる。
友貴が女と約束するなんて、本当に久しぶりで。
いや、むしろ友貴の口から嬉しそうにデートなんて単語が出ること自体初めて。
中学のころは、彼女というよりは本当に体だけの関係だったわけだし。
「ま、うまく言ったら報告するし」
千夏ちゃんと仲良くな、そう付け加えた友貴は週番の仕事へと取り掛かった。