ぶきっちょ



「今日さ、山下君と由香里遊ぶんでしょ?」


街へと向かおうとして並んで歩いていた俺の耳に聞こえた質問。


俺は一瞬思考回路が停止してしまって、少し間を空けてから聞き返した。


「・・・え?」


聞き間違いであることを願いながら。


「本当は今日由香里とかとカラオケでも行こうかって言ってたんだけどさ」


しかし特に気にすることなく、千夏ちゃんは続けて言った。


「由香里が急にドタキャンでさ。何か山下くんとメールしてたっぽいし」


そう言って少し嬉しそうに笑う千夏ちゃん。


「まだ話はしてくれないけど、前の恋愛吹っ切れたのかな」


前の恋愛。


それは千夏ちゃんは知らないけど、きっと俺のことであって。


つまり。


もう彼女は俺のことはもう吹っ切れたってこと。




















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