記憶のカケラ。〜君を思って前に進もう〜
紬が淡々とクレープ屋の事について

嬉しそうに、楽しそうに話す。

「ねぇ。今宵、聞いてる⁇」

「ん⁈あ!うん!聞いてるよ!」

しまった。ちょっとぼーっとしてた。

「もー。今宵ってしょっちゅう話聞いて

ないよね?しっかりしてよ?」

「ごめんごめん。」

紬は、私に叶汰という彼氏がいたこと、

そして叶汰と私の間であったできごと、

……叶汰が死んだこと、なに一つ知らな

い。だから、正直言って、私の事情を

知らない紬は伽奈や颯とは違って気を遣

ってくる事なく本当に普通に接してくれ

る。だから、こういう普通にしてくれる

友達も必要だなぁって思うんだ。

* * *

--カランコロン…----


「いらっしゃいませ。」

寒い外とは打って変わって、やっとつい

た店の店内は暖房がついていて冷えた体

を少しずつ、芯から温めていく。

紬と入口から1番遠い眺めのいい窓際の

席につく。

窓からは綺麗な海の景色が広がっていて

かもめが一羽飛んでいる。

でもこんないい景色なのにもうじき雨

が降ると考えると少し雨がいやになる。

「ねぇ!オシャレな店内だね!」

「そうだね。ってうか紬、変装しなくて

大丈夫なの?結構人いるよ?」

超有名なモデルなんだから………。

ほんとに紬は自由すぎる。身の危険なん

て感じない子だから。まぁ、別に悪い事

してるわけじゃないんだけどね。







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