記憶のカケラ。〜君を思って前に進もう〜

b

学校に着いたのは、HRの5分前だった。

ちょうど、予鈴がなる時に教室に入る。

「おはよ!今宵。」

「ん。おはよ。」

朝からテンションの上がらない私とは対

象的に常時ハイテンションなこの子は

舞島 伽奈。幼稚園の頃からの付き合いで

世に言う、幼馴染ってヤツ。

加奈は私とは違い、クラスのムードメー

カー的存在で男子にもモテる。

そんな伽奈は、いつも私の側にいてくれ

る私の親友。叶汰が死んだって聞いた時

涙が止まらない私の横で何も言わず

ずっと側にいてくれた。

あの時は伽奈の優しさに助けられた。

普段はこんなんだけど、本当は誰よりも

優しくて頼れる存在。

「……だったよね⁈って、今宵⁇

聞いてるー⁇」

「……ん?あ。ごめん(笑)」

「もぉ〜!…んでねでね!」

「うぃーす。」

「あ!颯。おはよーさん!」

「あぁ。今日も伽奈は元気だな。」

「毎日元気が伽奈のモットーだから!」

「ははっ!だな!

…今宵、おはよう。」

「はよ。」

コイツの名前は、渡辺 颯。

見た目は一見、チャラそうだけど

中身は温厚で優しいヤツ。

颯も幼稚園からの付き合いで私と伽奈と

叶汰と颯の4人、幼馴染同士で昔から

仲が良かった。もちろん、叶汰がいなく

なった今も。それに颯の家は私の隣で

何かとよく遊んでいた。私と叶汰が付き

合うにあたって、一番に協力してくれた

のも颯。コイツにも感謝しきれない事

だらけ。

「あ、今宵。お前、数学の課題やって

来たか?」

「んーまぁ一応。」

「お願い‼見せて下さい」

そう言って両手を顔の前で合わせる颯

……と、伽奈。



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