ライギョ
「土曜日は大抵、来てるのよ。色々と雑務が溜まってて。それにしても驚いたわ。たまたまドアを開けたら見慣れた顔がいるんだもの……ねぇ、お腹は空いてないの？」


恐らくカウンターに座りながら伝票の整理をしていたのか、ノートパソコンや伝票などが無造作に置かれていた。


「あっ、はい、昼食ったの遅くて。」


「あっそ、じゃぁ、飲み物用意するわ。どうする？車とかじゃ…ないよね？」


「はい、電車で来ました。」


「じゃ、お酒でも飲む？いつものでいいかしら？」


「ああ、はい、スイマセン。」


千晶さんはカウンターの中に入るといつものように手際よくドリンクの用意をした。


「お待たせ。」


目の前に置かれたのはジンバック。


俺が一杯目にいつも頼むものだ。


「私も一息つこうかしら。」


そう言うと千晶さんは自分用にはアイスコーヒーを冷蔵庫から出してグラスに注いだ。


「飲まないんですか？」


自分だけ飲むのが悪い気がしてそう言うと


「だから飲むわよ。」


と、言いながらカウンターの中にある小さめのスツールに腰を掛けてグラスを上げるので俺も自分のグラスをそっと上げた。


一口飲むと爽やかな味が口の中に一気に広がる。








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