ライギョ
「傘って？」


と、聞き返すもその傘の話にさほど興味はないのだけど……。


「ああ、ちょっと出張でな、こっちに来てて一昨日（おととい）やったかな。この店見つけてふらっと立ち寄ったんや。雨やったやろ、2日前。」


「えっ？ああ…。雨……だったかな。」


正直、一昨日の天気なんか一々覚えていない。


「それで、店出た時、雨止んでたんや。そしたら傘立てに突っ込んでた折り畳みの傘の事すっかり忘れてて…。」


「そっか。だけど、なんで今日またここに？」


「天気予報でな、明日は雨やって言うててそれで、あれ？傘どないしたっけってなったんや。思い当たるところここしか無かったから。」


「大事な傘なの？俺なら諦めてまた買うけどな。」


どうして傘の話題でここまで話さなきゃならないんだ？と思いながらも、かと言って他の話題を山中とするには少々躊躇うので仕方ない。


「うん。買っても良かったんやけどたまたま仕事からの帰りにここの前通ったから。」


さすがに傘の話題でこれ以上引き延ばすにも限界を感じていた頃、千晶さんがナイスなタイミングで声を掛けてくれた。







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