ライギョ
「何かドリンクでも作ろうか?それとも軽く食べる?」


そう言いながら千晶さんは俺の方へ目線を向けるもきっと山中へ気遣っての言葉だろう。


思わぬ再会にただ呆然と立ち尽くしていた俺達に千晶さんが気を利かせてテーブル席へと一先ず促してくれたのだ。


座れば落ち着いて話も出来るだろうと。


「でも、お休みなのに申し訳なくて…。」


「なに遠慮してるのよ。私は嬉しいわよ。だってうちの店で偶然にも再会したなんて素敵じゃない。」


千晶さんが嬉しそうに言う姿に思わず見惚れそうになる。


「じゃあ、折角なんで…。俺はジンロックを。お前、アルコールどうする?仕事まだあるの?」


「いや、今日はもう終った。ただ、ホテルに帰ってから少しだけやる事あるけどな。でも折角やし。じゃあ、同じものをお願いします。」


後半の部分は千晶さんへ向けて掛けられた。











「お疲れ」
「お疲れさん」


10年ぶりの再会に俺たちは互いにグラスを少し掲げた。









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