ライギョ
帰郷
ーーーーああ、これだ
俺は新幹線を降りてすぐ、モワッとした空気を吸いながら心の中でそう思った。
何年ぶり……いや、10年ぶりだろうか?この街に帰ってきたのは。
俺は大阪へと帰ってきた。
そうーーー
偶然の再会を果たした山中の話を確かめるために俺はなんとか取れた夏休みを利用して帰ってきたのだ。
取り敢えず、在来線に乗り換え、実家に向かおうかとも思ったけど、事を早く進めたくて鞄からスマホを取り出した。
ーーー山中から話は聞いてるだろ?
どこでなら会える?
お互い目的はハッキリとしているし無駄な前置きの挨拶はいらないだろう。俺は敢えて出来るだけ簡潔なメール文にした。
送信を押すと俺は新幹線のホームにあるベンチに腰を下ろし返信が来るのを待った。
山中が話は通しておくと言ってたものの、久しぶりの俺からのメールに戸惑っているんじゃないかって……。
そんな心配は全く必要もなく、早速バイブにしていたスマホが手のひらの中で振動した。
ーーーああ、山中から聞いたよ。
驚いたろ?
取り敢えず、指定の場所に来て。
場所はーーーーー………。
俺は場所を確認するとホームを後にした。