ライギョ
「デイトレやってるんだって?」


「ああ。お前も座れば。」


竹脇はイチゴミルクをチュウッと音が出るくらい吸いながら殺風景なリビングに鎮座するソファに腰を下ろした。


どちらかと言えばスリムだった中学時代とは結びつきそうにないほど巨漢となった竹脇はその体をソファに沈めた。


「結構、余裕あるんだね?」


デイトレーダーと言えば何だか一日中パソコンの前に座ってカチャカチャとやっているイメージがあった。


「余裕って?時間?それとも暮らしぶり?」


「あっ、えっと‥…時間。いや、どちらもかな。」


「最近はスイングに切り替えたから‥…って分からんか。まぁ、時間はあるよ。作るようにしたんだ。でないと稼いだお金、使えんからね。」


「へぇ‥…‥…凄いな。」


「稼いだ金で何れは起業するつもり。ギャンブルみたいな商売いつまでもやってられないからね」


竹脇は昔からそうだった。


山中とは違って前に出るタイプじゃなかったけど、何か常に色々と考えているというか……


でまぁ、たまにボソッと言う一言が面白かったり……


「お前、見た目も垢抜けて喋り方も変わったけど変わらんな。」


「えっ?なんて?ごめん、ちょっとボーッとしてた……」


「いや、ええよ。お前のそういう所、変わってなくてホッとした。」


そこまで言うと竹脇は


「さあ、無駄な話はこれくらいにして本題に入ろうか。まずは見せたいものがある。これを見てくれ。」


俺にタブレットを渡した。





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