ライギョ
「取り敢えず、山中からお前がこっちに帰るって聞いたからそれまでに少しでも動いておこうと僕なりに接触を試みた。」


「接触?管理人と?」


「ああ、いきなり確信をつくってのもどうかと思ったから初めは軽くブログの感想とかを書き込んだりしたんだ。」


「それで?」


「うーん、何度かやり取りしてみたけど、やっぱり安田本人って気はしない。全く感じられん、残念だけど。」


「そっか……。」


一瞬足りとも安田なのか?と期待を持った為か妙に落胆する。


「そう、露骨に落ち込むなって。続きがちゃんとある。やり取りする中で一度会っても良いってとこまで漕ぎ着けた。」


「ほ、本当か?いつ、どこで?」


「そう焦るなって。あくまで相手は中学生だと言ってる。そして俺もそう思ってる。となると未成年相手に下手に動けん。性別だってプロフ通り男とは限らないだろ?会ってみて実際、女だったりしてみろ、僕達はあっという間に犯罪者だ。」


確かに、今の世の中じゃ迂闊なことは出来ないな。


でもーーーー


「安田のーーー、あの夜の事、明らかにしたい。」


「勿論、僕もだ。それでだ。山中から小夜子の事は聞いたか?」


「えっ、ああ、付き合ってるって話?」


竹脇からも小夜子の名前が出て来た事に少し驚いた。


「そう、付き合ってるって話。それでなんだけど万が一、相手が女だったりしたことも想定して小夜子にも来てもらおうと思うんだ。」


こういう所ーーー


適当なようでいてちゃんと考えているところ、竹脇らしいなと思う。







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