ライギョ

小夜子

「へぇ…随分とシュッとした良い男になったねぇ。」


そう言いながら小夜子が俺のグラスにビールを注いでくれた。


竹脇の城から出た俺は山中から連絡を貰い落ち合う事になった。


まさか、小夜子まで来るとは思わなかったけど……。


「そうやろ?俺もそう思った。けどやっぱり基本は変わってないよ。ほら、取り敢えず乾杯しよ。」


小夜子の言葉に山中が答えながら、今度は山中が小夜子のグラスにビールを注いでやった。


「再会を祝してって集まる理由が理由だけに祝して……で、ええんかな?」


山中が言った言葉に


「そんなのなんでもいいでしょ、ほら、かんぱぁーい!」


小夜子の明るい声につられてそれぞれがグラスを傾ける。


今のやり取りを見ただけで小夜子と山中の普段の関係性が見えてくる。


俺達は山中と小夜子がよく来るという居酒屋に来ていた。


居酒屋と言っても大人の隠れ家的な雰囲気でとても落ち着いた内装だった。


あの頃、中学生だった俺達がこうして落ち着いた店で酒を飲んでるのが不思議に思えた。


と、同時にそれだけの時間が過ぎていたんだなと時の流れを再確認した。





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