ライギョ
「ねぇ、今どこにいる?もう実家に着いた?」


「いや、もう直ぐ実家だけど……。」


こういう時、起点の利く奴はもう玄関のドアを開ける所だとか何とかサラッと言えるのだろう。


生憎、俺にそんな器用さはない。


けれど、そんな俺でも今、面倒な方向に話が行っているのは流石に分かる。


「あのさ……どうしても話したい事があって……今から言う店に来れない?」











はぁ……


俺は結局の所、何も変わってない。


その場所に行っちゃ不味いって思うのに強く断る事が出来ない。


中学の頃と何ら変わらない。


俺は少しだけならとあまり効力の無さそうな前置きをした上で、小夜子が言う店に向かうことにした。












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