ライギョ
「もう、何?」











「えっと……思いっていうか気持ちとかもう無いんですか?その………彼に対して………。」


「気持ち?ああ元カレにね。今は…ないわ。言い切れる。そりゃ確かに事実を知った時にはねショックだったんだけど。私と彼との未来にやはり結婚は無かった。それに私ね、いつかお店やりたいって思いもあったしね。」


「お店………って今の?」


「うん、まぁ訳あって一度は生まれ育った街を離れて大阪でOLなんてしてたんだけど、結局はまた戻ったって話。ホームにね。」


ホームかぁ………。


俺のホームは一体どこなんだろうか。


この街なのか?


それとも今、暮らす場所が俺にとってホームなのか………。


そんな事をぼんやりと考えているとあっという間に駅に着いた。


さて、この後、どうする?


千晶さんはこのまま帰ってしまうのだろうか?


切符を買おうと財布を出しつつ、悩んでしまう。


「ねぇ、お腹空かない?今日のお礼にご馳走するわよ。」


「えっ、時間とか大丈夫なんですか?」


「うん、さすがに日帰りってのもキツいから今日は一泊するつもり。って言ってもまだ泊まるところも決めてないんだけど………まぁ、どうにかなるわよね。それより私、行きたい所あるんだ。」


そう言うと切符売り場にある路線図を見上げる千晶さん。




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