ライギョ
「どうでした?」


通話を終えた千晶さんが首を横に振る。


これでもう何件目だろうか。


店を出て取り敢えず、駅にあるカフェに入りそこで千晶さんの宿泊先を探すことにしたけれどーーー


「すいません……朝の時点で予約取るべきでしたよね。俺、気が回んなくて。」


「ううん、そんな事言わないで。私もうっかりしてた。よく考えたら夏休みだもん。そりゃ混むよね。」


大阪駅から近くのホテルはどこもかしこも予約で一杯だった。


夏休みともなると全国から泊まり客が来ているのだろう。


しかも、今日は土曜日だ。


「ここどうだろ。駅からちょっと遠いけど一度掛けてみる。」


千晶さんはそう言うとスマホを耳に当てた。


さてと………


どうしたものか。


千晶さんが電話をしている様子を見ると首を横に振ったのでまた駄目だったのだろう。


その時、俺のスマホが振動した。


ディスプレイに表記される名前を見て小さくため息を吐く。


目だけで千晶さんに断りを入れ、渋々ながらも応答する。









「メールじゃなくて電話をくれるなんて珍しいな。なんかあった?」


「お前のヲタクに対する浅はかな知識を塗り替えるべく言っとくがーーーー俺はコミュ障ではない。」


竹脇からだった。
















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