ライギョ
「これを俺にどうしろと言うんだよ。」


その分厚い書類には例のラビリんちゃんについての情報がビッシリと書かれてあった。


「どうもこうも、頭に入れるんや。昨日も別れ際に言うたやろ?お前には僕として明日、出向いて貰うんやからな。」


なんてこと無いような言い方をする竹脇。


確かに昨日、ここへ来て帰る際に竹脇に言われたっけ?


ーーー僕として会ってきてほしい、と。


その言葉を聞いた俺は頭を抱えた。


どう考えてもバレるに決まってる。


と言うのも、相手の中学生もどうやら竹脇と同じ様な趣味があるらしくそういった事もあり、今回、快く会うことを承諾してくれたらしい。


ラビリんちゃん、大阪限定ストラップとやらをお土産に用意していると相手に伝えた所、それはもう喜んだと竹脇は話した。


「なぁ、やっぱり無理があると思わないか?竹脇、一緒に行こう?」


俺の言葉に竹脇は心底うんざり顔で言った。


「お前、僕の引きこもり歴舐めんなよ。そんなもん行くくらいなら榎本ベーカリーのフルーツサンド自分で買いに行ってるやろ。」


確かに。だけど…


「バレるぞ。そうすれば全てが無駄になる。全てが、謎、のままだ。」


俺の言葉に竹脇も口をへの字に曲げる。


仕方ない。相手には正直に話して詫びるかと提案しようとした時、


「私、一緒に行ってフォローしようか?」


千晶さんが言った。


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