ライギョ
「千晶さん、何言ってるんですか。」


「うーん、事情は何だか分からないけど明日会わなきゃいけない人がいるのよね?そしてその相手はラビリんちゃん好きで繋がってる。ってこと?」


「さすが庶務ニチカちゃん話が早い。」


「竹脇っ。」


「分かった。私も行くわ。それでバレないようフォローする。」


「千晶さん、ダメです。そんな無茶な事してもらう訳にはいきません。」


「だけど、一晩でこれ、出来る?」


と、目の前に置かれた資料を指差す千晶さん。


「…わ、かりました。だけど、相手の出方に寄ってはその時点で全てをバラす。それでいいな?」


竹脇に確認する。


俺達の事で千晶さんを巻き込むわけにはいかない。


「了解。まぁ、相手がどうであれ小夜子とニチカちゃんがいるだけで警戒心も解けるっちゅうもんやろ。」


「だから、その呼び方っ。」


「クスクスクスッ…君のこんな姿貴重だな。目に焼き付けておかねば。」


俺と竹脇の会話に千晶さんが笑う。


こんなのでそんな笑顔向けてもらえるんだったら俺はいくらでも道化になりますよ。


ああ、この場に竹脇がいなければ。


俺の視線を感じたのか竹脇は咳払いを一つすると、


「っで、今日どこ泊まるん?」


そうだった…


俺はともかく千晶さんの宿泊先を確保せねば。






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