ライギョ
「本当にーーー良かったのかしら?」
「竹脇、掃いて捨てるほど金持ってるそうなんで気にしないでください。それより、俺、やっぱり実家にーーー」
「ああ、それは全然気にしないで。ほら、こんなにも部屋があるんだし。ここに一人で泊まってって言われても…ねぇ?」
あの後、竹脇に千晶さんの宿泊先がまだ決まっていない事を告げるとまるでフルーツサンド食べる?とでも言うような軽いノリで
ーーー泊まってけば?
と言われた。
引きこもりだったヲタクの竹脇から出た言葉に何て返せばいいのか躊躇ってると
ーーーもちろん、ここじゃない。僕の金持ち加減舐めんなよ。
そう言って出されたのはカードキー。
竹脇の住むタワーマンションから歩いて数分程度の先に老舗のホテルが鎮座する。
竹脇はなんとそこのスイートルームを年間契約で押さえていると言うのだ。
ーーーほら、あそこのホテルから城ホールも読売テレビも近いやろ?引きこもりヲタクでも時に出陣することもあるんや。その時の為の城やな。クックックッ
何が可笑しいんだ?とも言えず背に腹は変えられない今の状況にそのカードキーを有り難く使わせてもらう事にした。
世の中には本当にいるんだな、こういう事をしている金持ちが。