ライギョ
「ああ、だから、違うって。ラビリんちゃんはラビットン星から来た妖精なのね。だけど、それには裏設定があってーーー」
千晶さんと初めて過ごす夜なのに…これじゃぁ、ムードの欠片もない。
「ねぇ、聞いてる?」
「えっ、と。聞いてます。めちゃくちゃ聞いてます。だから、ラビリんは、」
「ラビリんちゃん!ヲタの中ではラビリんって呼び捨ては禁止なのよ。ほら、もう一回、頭から繰り返してみて。」
はぁ…、今ならその昔、千晶さんがヲタ系アイドルをしていたのなんか、納得できる気がする。
憧れの人を前に初めて過ごす夜はまだまだ終わらなさそうだ。
「ほら、あくびしないっ。」
「す、すいませんっ。」