ライギョ
「服装も何もかも全て男物ばかりやったし、習い事も空手とか剣道とか武道ばかりで。それでも僕はなんの疑問も持たずに過ごしてきたんです。それがーーー」
そこまで言うと原 妃咲の言葉は完全にストップしてしまった。
「それが?」
俺が何も考えず聞き返すと
「それがーーー」
急に言葉を探すように言い淀む。
けれど何かを決心したかのように一つ頷くと、
「僕、中学に入って漸く印が来たんです。」
「印?なんの?」
「いや、だから…」
それまでとは違い口籠る原 妃咲に代わり、何かを察したげな小夜子が声を出した。
「あなたの体が女の子として機能し始めた…って事よね?」
原 妃咲は黙ったまま一つ頷いた。
そういうことか…。
そこまで聞いてハッとする。
「えっ、まさかそれで捨てられた?」
いくらなんでもそんな事、ある訳ないだろと言う俺の考えは呆気なく崩された。
「うちの家に女の子なんかいてない。お母さんが僕に言った言葉です。」
「冗談だろ?そんな酷い話し…」
ある訳ないだろと最後まで言えなかったのは原 妃咲の目から涙がこぼれ落ちているのを見てしまったから。
「僕は僕の存在を消されたんです。実の母親に。」
静かに涙を零す原 妃咲を見ていると漸く、彼女が女の子なんだという事を実感した。
そこまで言うと原 妃咲の言葉は完全にストップしてしまった。
「それが?」
俺が何も考えず聞き返すと
「それがーーー」
急に言葉を探すように言い淀む。
けれど何かを決心したかのように一つ頷くと、
「僕、中学に入って漸く印が来たんです。」
「印?なんの?」
「いや、だから…」
それまでとは違い口籠る原 妃咲に代わり、何かを察したげな小夜子が声を出した。
「あなたの体が女の子として機能し始めた…って事よね?」
原 妃咲は黙ったまま一つ頷いた。
そういうことか…。
そこまで聞いてハッとする。
「えっ、まさかそれで捨てられた?」
いくらなんでもそんな事、ある訳ないだろと言う俺の考えは呆気なく崩された。
「うちの家に女の子なんかいてない。お母さんが僕に言った言葉です。」
「冗談だろ?そんな酷い話し…」
ある訳ないだろと最後まで言えなかったのは原 妃咲の目から涙がこぼれ落ちているのを見てしまったから。
「僕は僕の存在を消されたんです。実の母親に。」
静かに涙を零す原 妃咲を見ていると漸く、彼女が女の子なんだという事を実感した。