ライギョ
「結局、お父さんが僕の存在をなかった事にしようとしているお母さんから取り敢えず僕を離そうとして、そして僕はお父さんに連れられて父方の祖父母のいるここへやってきました。」


そうだったのか…


たったの10数年しか生きていないのにこの子はどれほどの傷を心に受けたのだろうか。


「僕、父親にこれからはここで女の子として好きなように生きればいい、そう言われたんですけど…」


「けど?」


小夜子が問い掛ける。


「女の子としてって急に言われてもどうしたら女の子になるのかも分からんし、それにそもそも僕って必要とされてるんかなって。」


だからかーーー




『僕が生きる意味ってなんですか?』




ごめん…


君よりも少しは長く生きている俺だけど、簡単に答えを言ってあげる言葉が見つからない。


ごめん…


君よりも大人なのに君よりもたくさんのことを知ってる筈なのに…


こんな時に何も言えない自分が情けないよ。


もし、安田がいたなら、安田があんな事になっていなかったら…


この子は、どんな子になってたんだろうか?


この子は、たったの10数年生きてきただけで、その生きる意味を考えたりしただろうか?










「もうちょっと頭ええと思ってたで、ラビりんZ。生きる意味?そんなもん考えてどうするねん。生きてるうちは生きてるうちにしか出来んことをやったらええねん。」










このクソ暑い中、戦争にでもこれから行くんじゃないかってくらいの重装備の竹脇がそこにいた。













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