ライギョ
「考えてみ。たった10数年しか生きてない子に生きる意味語ってどうするんや。僕ですら生きる意味とか聞かれてもようわからんというのに。」


なんとなくみんなが黙った。


そして各々に今、その言葉を噛み締めている。


ーーー生きる意味


竹脇が続ける。


「だから、生きてるうちにしか出来ない事を話してきたんや。今、生きてるからこそラビりんちゃんの話ができる訳や。情報交換してまた語り合えるわけや。グッズも手に入れることが出来る。死んだらそんなもんぜぇーんぶ終わりや。生きてるからこそやろ。」


確かにそうだけど…


「確かにな、今日会うまでは安田のこと…ちょっとでも情報得ることが出来るかなって思ってたよ。何か分かるんやないかってもしかしたら安田って期待もしてた。でもなーーー」








ーーーーどう考えても安田は今、いてへん。ここにいてへんのや。安田はもうどこにもいてへんのや。







「あの子の方が余程、僕らより大人や。ちゃんとその現実を受け入れてる。前に進もうとしてるから悩むんや。それこそ生きてるからこそやろ。それに引き換え僕らはどうや。何をいつまでも立ち止まってるんや。それぞれ大人になって金も稼いで好きなことして…せやのに、心はあの時から動いてへん。ずっとモヤっとしたものが心に重なってる。いい加減、受け入れなアカンねん。もう十分や。安田はこの世にいてへんのやって事、受け入れていかなアカンねん…」







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