コンビニエンスな関係
お昼になり、3つ先の街に出た。そこには大きな薬科大学がある『学生の街』だ。だから、安くて美味しい店が多い。



タイミング良く来たのかまだ満席ではなかった。


「こちらの席にどうぞ」


2人掛けのテーブルに案内された。もう少し遅ければ、カウンターに案内されたに違いない。



「ねぇ、ヒロ、お昼からどこに行く?」



隣のテーブルには大学生らしきカップルが座っていた。彼女が、甘えた声で聞いている。



チラッと『ヒロ』と呼ばれる男を見て、凍りついた。



『ヒロ』
たしかに…『ヒロ』だ。


知らんぷり知らんぷり…私は、慌ててメニューを広げ、早々に注文した。そして、用もないのにスマホを取り出し、レシピなんかを見たりした。



完全に…動揺していた。


< 17 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop