スキと言えるまで。





綺麗だって言おうとしたら、爽一にかぶせてこられた。
コイツわざとだ、絶対にわざとだ。





「本当…?、良かった。
樹はどう思う?」





「え、あ、似合ってるぞ。」





綺麗だって言いそびれたじゃないか。
爽一はてめぇなんかに言わせるかよ、みたいな視線を感じるし。
最近爽一の考えてることが分かるようになった気がする。
そして大体の想像が多分合ってるという。





「なんかもういいや!
もう諦めてステージ出るしかないんでしょ、結局は。」





「物分りがよくて助かるよ、若葉。」





「…愛果は後で話があるから逃げないでね。」





その格好で凄みのある声で言われると、変な色気が出てる。
若葉ってこんな奴だったんだ…。
どこか俺は、若葉がいつまででも幼いままだったと実感させられる。






< 144 / 261 >

この作品をシェア

pagetop