スキと言えるまで。
綺麗だって言おうとしたら、爽一にかぶせてこられた。
コイツわざとだ、絶対にわざとだ。
「本当…?、良かった。
樹はどう思う?」
「え、あ、似合ってるぞ。」
綺麗だって言いそびれたじゃないか。
爽一はてめぇなんかに言わせるかよ、みたいな視線を感じるし。
最近爽一の考えてることが分かるようになった気がする。
そして大体の想像が多分合ってるという。
「なんかもういいや!
もう諦めてステージ出るしかないんでしょ、結局は。」
「物分りがよくて助かるよ、若葉。」
「…愛果は後で話があるから逃げないでね。」
その格好で凄みのある声で言われると、変な色気が出てる。
若葉ってこんな奴だったんだ…。
どこか俺は、若葉がいつまででも幼いままだったと実感させられる。