スキと言えるまで。

傷を知るもの同士






若葉side





「翔様からお話は伺っております。
どうぞ、こちらの部屋でお待ちください。」





「ここに颯はいるんだね。」





「うん、もうじき来るはずだよ。」





翌日は文化祭の代休で、それを颯と面会する日に当ててもらった。
颯がいるのはある病院。
入院している部屋は病室ではなく、一般的な部屋のような造りになっている。
自立と改善を促すようになっているとかいないとか。





正直怖い。
けど今までとは違う恐怖。





自分の身に起こる恐怖じゃなくて、颯を救えなかった時の恐怖。
私は神谷先生みたいな専門家じゃないし、颯のスイッチみたいなものだし。
逆効果になるかどうかは、紙一重。






< 162 / 261 >

この作品をシェア

pagetop