スキと言えるまで。
…油断した。
喉が渇いた私たちは、愛果に飲み物を買いに行ってもらったのだ。
当然部屋には二人きり。
さっきまで滞りなく話していたから、何も考えず話そうとしたら、急に押し倒された。
「忘れてたよ、颯は演技も上手かったってことを。」
「ふーん、随分余裕じゃん。」
またあの時みたいに泣き喚くかと思ったのに。
憎たらしい顔で言ってきた。
「だって私は変わったもの。
あの時みたいに弱くない。」
「それはやっぱり、あの男のせい?」
どうしてそんな苦しそうな顔をしていうのさ。
手を掴む力がじわじわと強くなってくる。
もしかしたら、痕になるかもな、なんて考える余裕まであるとは。