スキと言えるまで。
「もー、お前まで泣くなってば。」
自分の服の袖で、少し乱暴に私の涙を拭ってくれる。
ごめんね、泣きたいのは樹だよね。
私の目の前じゃ泣いてくれない。
「お前には言ってなかったけどさ…。
琉那たちの婚姻の準備が水面下で進んでいたんだよ。」
「なんで!?
琉那が卒業してからのはずだったんじゃなかった!?」
「理由は俺も知らない。
けど、ちょうど良かったんだよ。
いつまででも叶わない恋をしてたって、琉那にも迷惑だったしな。」
私は卑怯だ。
樹に傷ついて欲しくないだなんて思ってるけど、琉那の気持ちを樹に向けようともしなかったくせに。
自分が樹を好きだから。
どこかで失恋すればいいなんて思ってた。
私を見て欲しいって欲があった。