スキと言えるまで。





「けど樹遅いな、早く来ればいいのに。
若葉、もちろん樹里の分作ってあるんだろう?
渡せるといいな。」





「二人にも協力してもらったんだもん。
渡さないわけにはいかないでしょ。」





樹は無事進路が決まって、担任に呼ばれて用事をしているから少し遅くなるらしい。
私は爽一を振ってしまったのに、応援までしてくれるなんて本当爽一って出来た人。





「爽一を振るなんて、私って贅沢なのかな?」





「…今更気づいた。
樹を好きな時点で物好きなんだと思うけどね。」





「ゆったなー?」





最初は爽一ってとっつきにくそうだったけど、よく考えれば細かい変化に一番先に気づいてくれてて。
相手の距離に踏み込み過ぎなくて、無愛想なだけでひと思いなんだよね。
仲良くなれて、そんな人に好きになってもらえて嬉しい。
答えられなかったのにあれだけど。






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