スキと言えるまで。





「もしもし若葉、隣座る。」





「やっぱり爽一来てくれるんだね…、ありがとう。
当の本人の樹はやっぱり来ないんだ。」





「いや、来ようとはしてたんだけど…。
小牧に捕まって、だいぶ絞られてると思うから許してやってくれ。」





俺が来たからって、必死に顔をこすって涙を拭って。
気持ちを伝える前なら、ここで抱きしめていたかもしれない。
けどもう、俺にはそうする資格もない。





抱きしめて涙を拭いて。
それをすることが許されるのはきっと。
若葉の隣がふさわしいのはきっと…、樹だから。






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