スキと言えるまで。






「…だけどね、やっぱり好きなんだよ樹が。
何言われようが何されようがきっとね。」





そう言って立ち上がった若葉。





「…チョコレート渡しに行くの?
もうじき解放されるだろうから、ここで待ってればいいのに。」





背伸びして俺も着いていこうと立ち上がろうとした瞬間、何かが顔めがけて投げられた。
顔面寸前で俺はキャッチ。
反射神経褒めて。





俺の手には綺麗に包装された袋。





「それ、樹に渡そうとしてたチョコレート!
あいつに渡せる気がしないから、爽一にあげる。
…どれだけ好きでも、傷つくときは傷ついたから。」





「…どこ行く気!?」





「心配ご無用。
ちょっと早退させていただきます!!
また明日ねー!!」





心なしか早歩きで屋上を出て行く若葉。
足音が消えるのに、時間はかからなかった…。






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