スキと言えるまで。





「あれ、丘山若葉?」





「…!!」





一番会いたくないやつに見つかってしまった。
こっちに来るということは、そういう可能性だってあるということなのに。
覚悟して、来たはずじゃないの?





「随分俺といた時と変わっちゃったねー。
ずっと髪下ろしてて、って約束したのに。」





約束なんてしてない。
そう言い返したいのに、声が出ない。
あいつが目の前にいる。
それだけで私の周りは恐怖だった。





「映画見に来たんでしょ?
帰らなくてもいいじゃない、僕と一緒に見るよね?」





私に選択肢なんてあるはずがない。
着いていったら何をされるの。







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