スキと言えるまで。





樹side





「い…やだ…。」





「僕に逆らうの?
あの時みたいに痛いことされたいの?」





「若葉!!」





とりあえず飲み物を皆に渡しに行って帰ってきたら、物騒な会話と怯えきった若葉の顔。
掴まれた手を引き剥がして離れさせる。





「い、いっちゃん…。」





「大丈夫かよ、若葉。」





若葉が俺をいっちゃんって呼ぶときは、相当なんだ。
嬉しくたって悲しくたってどんな時だって。





昔は感情表現が素直だったくせに、今は心からの気持ちがわからない。
いや違う。
しなくなったんじゃなくて、出来なくなったんじゃないか。






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