代償 2nd mean

東さん。

数日後。
来客があり。
慶佑と、向かい合ってソファーに座っている。

「城時さん、そろそろ戻ってください」
───東(あずま)さん。
上時だった頃の、ホスト仲間。
あの時の電話の相手───。
「───悪い」
慶佑が消え入るように言い出し、
「誰だ、あんた」
東さんが、驚く。
「東さん、慶佑は記憶をなくしていて、何も覚えていませんよ」
「───は?」
驚愕を顔に浮かべる。
「私も忘れていて、やっと覚えて貰えたような感じです。前橋組も、ホストも。自分さえ覚えていません」
仲裁してみる。

「それじゃあ話にならないじゃないか!」
激昂する。
───何?
「城時、お前にどれだけオーダーがあると思う!?」
「───オーダー?」
「指名だ!!」
「───城時て、誰?」
東さんが、声を失った。
「俺は、慶佑らしいが………上時や城時とは、誰の事だ?」
「あんただよ!!」
殴りかからんばかりに捲し立てる。
「俺?」
「芝居事に付き合ってる暇なんかねぇんだよ!いい加減にしろ!」
「───っ」
慶佑の胸ぐらをひっつかむ。


「やめて!!」
「黙れ!!」
やめて───。
慶佑が───。
< 16 / 80 >

この作品をシェア

pagetop