代償 2nd mean
「───」
吐き気がする。
「慶佑?」
文香が見てる。
真夜中。
寝汗が冷たい。
「魘されていたよ?………大丈夫?」
「───」
「………悪い夢でも見た?」
悪い夢───。
断片的に聞こえた、声。
「………ああ」
「………」
肩に触れた文香の手が。
冷たい───。
だんだん伝わる温かさも。
何だか、気味悪くて。
いここちが悪くて。
でも。
拒絶は出来ない。
「───俺は………何に気づかないんだ?」
溢した言葉はこれだけで。
不安定で安定しない。
「………焦ってる?」
思い出せなくて。
そう、かもしれない。
焦ってるんだろう………。
だから。
変な夢で声で。