代償 2nd mean
「………凜音さんは!?」
叫んだ名前は、ざわめきに飲まれた。
「………」
苦し紛れの声が、聞こえ。

「………撃たれたんだ」
頭の中が、真っ白になった。
………何で?
………何でなの?
笑った膝が折れた。
ユートさんが俯いて、床を眺めてる。
「………」
「………文ちゃん、大丈夫?」
私の隣に跪く、慶佑。
「………文香」
「………ご、ごめん」
何だろう。

慶佑は動揺してない。
全く。
まるで、予測して………いや。
もう、こうなる運命だと知っていたような顔して。

「………顔色が悪い、向こうに行こう」
抱かれた肩が震えていた。
「………凜音さんは………生きてる?」
マスターを見上げて、聞く。
マスターは、黙って見下ろした。



「………ゃ………………木屋ぁぁぁ!!」
絶叫が。
その名前を呼んだ。
< 61 / 80 >

この作品をシェア

pagetop