代償 2nd mean

「───か、」
上城………。

マスターが呼んだ。
「よお、マスター。久しいな」
「………お前、記憶………」
「あ、戻ったっぽい。まだ浮わついているが。繋がらないし」
記憶をなくす前、なくしている間、戻った今。
繋がらないのは仕方ないと思う。
「何で今なんだ、お前」
「俺が聞きたい。気付けばー、みたいな?」
嘘だ。
「………はぁ」
「しかし………キャーラがいなくなったか」
「お前がもう一度、総長になるか」
「や・だ・ね。なるわけないだろ?」
さらさら、総長になる気はないようだ。
いい思い出はないんだろう………。
「ユートにでも預けるか?」
「ユートは………」
「嫌がるだろーな。目に見えてる」
上時が唸った。
長がいなくて、族が成り立つとは思えない。

「文香、やるか?」
うん?
「28代目、前橋組の族長」
「はい?」
「女総長、いいと思うぞ」
「え?………無理に決まってるでしょ!?」
何を言う!
私が族長とか、総長とか───無理無理無理!!!

「んじゃ、決定」
無視された………。
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