代償 2nd mean

前橋組

マスターの店に人を集め。

「出た、上時総長………」
「記憶戻ったらしいぞ」
「へぇ───」
「何か、慶佑だった頃のほうが………」
「また鬼軍曹みたいな事、始めるとか?」
「俺たち、何やらかした?」
「何もやってねぇよ!」
「だって、喧嘩ひとつしてないぞ?」
「あ、バスでお年寄りに席、譲らなかったとか?」
「10円玉、交番………」

そんな事をヒソヒソと。
………バスでお年寄りに席、って。
小学生?
前橋組、こう見ると小さいなぁ。
でも、席を譲らなかったのは………。
常識から見れば………。
………10円玉て。
交番に届けなかったわけね、はい。
………小さいなぁ。
これが、頂点に君臨する族とは、思えない。

「お前ら、また随分小さくなったなぁー。まあ、バスはどうでもいい」
………やっぱ、そこね。
「10円玉、交番に届けなかったなら、神社の賽銭にでも投げておけ」
………そこも?

「上時総長、記憶………」
「まあまあ戻った。まだ慣れないが」
確信した族の人たちが、ほっと一息つく。
「前橋組、どうするんです?」
「問題はそれなんだ」
族の人たちを見回し、

「いっその事、解散するか?」
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