代償 2nd mean
あの日、総長は死んだ。
総長の名前は上城 上時。
本名、上寺 慶佑。
13階のベランダから飛び降りた。
たった一言を残して。
私に答えさせないで。
地面に寝そべった総長は、飛び降りたのに顔は綺麗だった。
即死した。
白い肌に赤い血が映えて、妙な気味悪さを覚えた。
何で飛び降りたんだろう。
死ななきゃいけなかった?
何でたった一言残した?
責任だった?
それも代償だった?
死をもっての償いだった?
誰に?
私に?
前橋組に?
たくさんの疑問も残して死んだ。
闇に葬った過去と答え。
もう分からない。
私に宿った命は、生きていて。
名前は冬音 慶佑。
あの総長と同じ名前。
姓は、私のものだけど。
きっと、あの総長の姓を使うようになると思う。
慶佑は前橋組29代めの総長。
28代めは私だった。
慶佑の左耳に揺れるピアス。
よく似合っていて。