代償 2nd mean
「………に、しても、上時総長」
氷族長は上時を見上げ、
「変わったね」
そりゃね。
もう、人が変わったねって言ってるから。

記憶のある、ないっていうのは、恐ろしく異なる。
今まで自分が辿った道を、無にするようなものでしょう?
私は、辿った道が、振り返れば見える。
慶佑はない。
その前に、振り返る事が出来ない。
今、この時間しか、ないんだろう。
………。

「木屋総長ー、なのかな」
「うん。代理ねー。じゃないと、前橋組がホーカイするよぉ?」
………崩壊ね。
「どう見たら、これが代理でも総長に見えるかな」
「見方なんて、分かりませんよ」
「キャーラ、そんな言い方しない!」
凜音さん。
厳しいよ。
………よく、釣り合うなぁ。
尊敬します。
「てか、何で凜音ちゃんはキャーラと付き合うの?」

ストレートな直球投げたよ、この族長。
「べ、別に、キャーラが言ったから」
「へー、キャーラは?」
「凜音が好きだから☆」
後頭部を、いっそ清々しい程の音をたてて、凜音さんに殴られる。
………よく、やるよ。
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