桃の花を溺れるほどに愛してる
「えっと……助けてくれたことに関してはありがたく思……いますが、初対面の人といきなり付き合うのは……ちょっと……」


 なんとかして断ろうとやんわりフォローしながら言うと、綺麗な人は一瞬悲しそうな表情を浮かべた。

 えっ?その悲しそうな表情は私が告白に対して断ろうとしているから……だよね?うん。


「僕は桃花さんのこと、なんでも知っています……!」

「いやいや、そういうことじゃ……」


 って、ええ?!今なんつった?この人!私のこと、なんでも知っているって言った?!やっぱりストーカーじゃないのかっ?!


「……アンタ。私のこと、どれくらい知っているの?」


 おそるおそる、聞いてみた。すると、綺麗な人はパッと明るい表情になり、口を開く。


「名前は神代桃花さん、誕生日は3月3日生まれの魚座で、A型。ちなみに名前の“桃花”は3月3日が花桃の日だから。好きな食べ物はオムライスで、好きな飲み物はミックス・オ・レ。嫌いな食べ物は辛いもので、嫌いな飲み物は梅。中学1年生の時に1つ年上の先輩に片想いを抱くも、すでに先輩には彼女がいて、告白することもなく失恋。僕はこの時、2人が結ばれたらどうしようかと嫉妬で狂いそうでした。他には――」


 次は私がぽかんとした。
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