桃の花を溺れるほどに愛してる
「榊先輩、」

「ん？」


　とりあえず、今、榊先輩に返すべき言葉は……。


「寝言は寝て言え、……です。告白する相手、間違ってません？」


　……でしょ！

　だって、榊先輩には付き合っている彼女がいるのに、私なんかに告白するわけがないっ！榊先輩は寝ぼけているんだな、きっと。

　あっ、私が最近まともに眠れないことを風の噂で聞いたって言っていたけど、それはたまたまで、本当は榊先輩自身が眠れなくなっているのでは？

　だから睡魔に襲われて意識が朦朧としていて……そんな中、間違えて紅茶を渡してきて私に告白しちゃった★みたいな！

　うん、そうよ！絶対にそう！じゃなければ、つじつまが合わな……い……。


「え？君は神代桃花ちゃんだろ？」

「まぁ、そうですけど……」


　えっ、どうして榊先輩は私の名前を知っているんだ……？

　中学１年生の時は遠くから榊先輩を眺めているのが精一杯で、直接的に接触はしたことは無いから私の名前を知っているわけが……。

　……、くそっ、春人と初めて出会った時のことを思い出しちゃったじゃないか。まさか榊先輩も春人と同じような人じゃない……わよね？さすがに。ははは……は……。
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