桃の花を溺れるほどに愛してる
　んー、“ずっと、”君のことが好きだった……っていうことは、少なくとも前々から私のことを知っていたってことになるわよね？

　じゃあ、当時になんらかで榊先輩は私に好意を抱くようになって、それで私のことを周りの人に聞いたりとか自分で調べたりとかした……のかなぁ？

　だとしても……。


「榊先輩、彼女……いますよね？」

「え？」


　中学１年生の時に付き合っていた彼女は……どうしたのだろうか？

　私は榊先輩に彼女がいると分かって、告白をするどころか会話自体することを諦めて、それから……。



　――あれ？



　――それから、どうしたんだっけ？



「もしかして、雪子（ゆきこ）のことを言っているのかな？それならとっくに別れているけど……？」

「――……」

「桃花ちゃん？」

「……えっ、ああ、そうなんですか！私、知らなかったもので……」


　榊先輩を諦めたその後のことを考えていたら、ちょっとぼーっとしてた。まぁ、別にそこまで重大なことでもないし、気にしなくていっか！

　えっと……当時、榊先輩と付き合っていたあの子、雪子ちゃんっていうんだ。

　別れたって榊先輩は言っているけど、とっくに別れているのに未だに名前を呼び捨てなのは……よっぽど雪子ちゃんのことが好きだったからなのかな？

　っていうことは、雪子ちゃんからフッた……のだろうか？うーん、あまりそういうことは気にしない方がいいのかなぁ？
< 128 / 347 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop