桃の花を溺れるほどに愛してる
 明るい表情で、さも当たり前かのようにペラペラと話す目の前の彼に、私は開いた口が塞がらない。


「――昨日は家の食卓に大好きなオムライスが並んで、桃花さん、とても嬉しそうな表情を浮かべましたよね!僕はそんな桃花さんの表情を見てとても嬉しくなりました」

「ちょっ!たんまっ!」


 なっ……何を言っているんだ?この人。

 確かに昨日の夕飯は私の大好きなオムライスだった。だったけれど!どうしてこの人はそんなことを知っているわけ?!

 おまけに私の表情が分かっていた……?!まるで家の中に監視カメラでも仕掛けているみたいじゃないっ?!


「アンタ、まさか、家の中に監視カメラとか仕掛けてない、よね?」

「え」

「……盗聴器とか仕掛けてないよね?」

「仕掛けていますけど?」


 はっ……。

 はぁぁぁあああっ?!

 なに、さらりと爆弾発言をしているんだ、この人はっ!

 ありえない、ありえない、ありえない!

 ぽかんとする私をよそに、目の前の男はニコリと微笑む。


「ベッドの上で気持ち良さそうにねむっている桃花さん、かわいかったです!あっ、もちろん今もかわいいですけど!」


 寝顔までつつぬけっ?!
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