桃の花を溺れるほどに愛してる
「彼とは……ちょっと疎遠気味で」

「……俺でよければ、相談に乗るよ？やっぱり、好きな子が悲しそうにしているのは……見ていられないから」


　スッと真剣な顔をしてそう言ってくれた榊先輩に、不覚にもときめいてしまっている自分がいた。


「榊先輩……」


　……って、え？私、悲しそうにしている？顔が？マジで？そんな顔、しているわけないじゃん……。


「ほら、話してみて？」


　……私のことが好きだって言っている榊先輩に、今交際している男性のことを言うのはどうかとは思うけど……。

　榊先輩、なんだか真剣な顔をしていて、私の話を聞く気満々みたいだし……言っても、いいのかなぁ？


「えっと……実は……」


　私は榊先輩に、今、春人とどういう状況なのかをすべて話した。

　春人が無自覚なストーカーだったことや、私から別れを切り出したら自殺しそうな勢いだとか……。

　だからフラれようと思って演技をしたら距離をおこうって言われたことや、見知らぬ綺麗な女性と寄り添うようにしていたこととか……。

　京子にも話していないこと……ううん、いずれは言おうとしていたこと、私はすべて、榊先輩に話した。
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