桃の花を溺れるほどに愛してる
「やっぱりアンタ、ストーカーじゃないっ!」

「えぇっ?!違いますよっ」

「アンタの行動を世間はストーカーって言うの!立派なストーカー!」

「そうなんですか?!」


 次の瞬間、彼は顔面蒼白でガックシとうなだれた。それはまるで、自分の行動に青ざめているみたいな……。

 えっ、コレ、素?本当に自分の行動がストーカーだって気付かなかったの?

 ……ますますありえない。

 でも、彼がストーカーだと分かった以上、野放しになんか出来ない。


「アンタ、名前は?」

「あっ、申し遅れました。僕は天霧 春人(あまぎり はると)といいます」


 パッと顔をあげた天霧……さんの表情は、少し明るみが射していた。

 立ち直り、早いな。

 というか、天霧ってどこかで聞いたことのあるような……?気のせい?


「じゃあ、歳は?」

「今年で22になります」

「はぁ?!5つ年上っ?!」


 これには驚きが隠せない。

 だって一応、社会人じゃないか!それなのにこんな行為をして……本っ当にありえないんですけど!


「よし、とりあえずついて来て」


 警察に。


「?……あの、僕の告白の返事はどうなるんでしょうか……?」

「そんなもん、どうだっていいでしょうが!アンタは今から警察署に行くの!告白の返事なんて、冗談じゃないわっ」
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