桃の花を溺れるほどに愛してる
 ――そう。つまり、私から天霧さんへの恋愛感情は、一切ない。

 百歩譲って恋愛感情が芽生えたとしても、そのうちその感情さえも消える……だろうし……。

 天霧さんが勝手に死なないよう、他の素敵な女性を見付けるまでのかけ橋……みたいな?


「“仕方なく”付き合ってあげるけど、変な期待とか抱かないでよ?」

「はいっ」

「あと……変なことしたら即刻警察署に突き出すから、そのつもりで」

「はいっ。心得ています!」

「それから、仕掛けている監視カメラとか盗聴器とかの類、全部、取り外して」

「はいっ……えええっ?!」


 そこ、驚くところ?

 フツー、恋人の家に監視カメラや盗聴器なんか仕掛けたりしないって。

 仕掛けられる側が了承して同意の上ならまだしも、フツーはありえないから。
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