桃の花を溺れるほどに愛してる
――それから4年後。
「どこ見て歩いとんのやっ!」
比較的に平和だったモニターから、4年ぶりにドスのきいた男性の声が聴こえた。
僕は慌てて桃花さんの現在地を確認し、自分の赤い車を発進させる。
そこへたどり着くや否や、僕は見知らぬ男性に向かって言葉を発していた。
「彼女を離してください」
「ぁあ?この問題は兄ちゃんには関係ないやろ。シッシッ」
「はぁ……。彼女が関係している時点で、大いに関係しているんですよ」
「なんやとぉ?!」
「先程、警察をお呼び致しました。成人男性が未成年に手を出している、と」
もちろん、嘘ですけど。
「くっそ!覚えときや!」
見知らぬ男性は去っていった。
桃花さんの記憶がなくなってから、こうやって桃花さんの前にちゃんと現れるのは、初めてかもしれない。
高まる感情。
高まる心臓。
高まる体温……。
ああ、やっぱり、僕は桃花さんのことが好きなのだと、大好きなのだと、愛しているのだと、再認識した。
こんなにも、愛おしい。
「桃花さんのことが好きです!僕と付き合ってください!」
いつの間にか、僕は、桃花さんに向かって“それ”を口走っていた。
桃花さんは一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたけれど、すぐに無表情に戻って――。
「……ちょっと待って。なんで私の名前、知ってんの?」
「えっ」
――僕らの歯車が、廻り始めた音がした。
「どこ見て歩いとんのやっ!」
比較的に平和だったモニターから、4年ぶりにドスのきいた男性の声が聴こえた。
僕は慌てて桃花さんの現在地を確認し、自分の赤い車を発進させる。
そこへたどり着くや否や、僕は見知らぬ男性に向かって言葉を発していた。
「彼女を離してください」
「ぁあ?この問題は兄ちゃんには関係ないやろ。シッシッ」
「はぁ……。彼女が関係している時点で、大いに関係しているんですよ」
「なんやとぉ?!」
「先程、警察をお呼び致しました。成人男性が未成年に手を出している、と」
もちろん、嘘ですけど。
「くっそ!覚えときや!」
見知らぬ男性は去っていった。
桃花さんの記憶がなくなってから、こうやって桃花さんの前にちゃんと現れるのは、初めてかもしれない。
高まる感情。
高まる心臓。
高まる体温……。
ああ、やっぱり、僕は桃花さんのことが好きなのだと、大好きなのだと、愛しているのだと、再認識した。
こんなにも、愛おしい。
「桃花さんのことが好きです!僕と付き合ってください!」
いつの間にか、僕は、桃花さんに向かって“それ”を口走っていた。
桃花さんは一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたけれど、すぐに無表情に戻って――。
「……ちょっと待って。なんで私の名前、知ってんの?」
「えっ」
――僕らの歯車が、廻り始めた音がした。