桃の花を溺れるほどに愛してる
【桃花 Side.】


「……っアンタねぇ、」

「あれだけ私に好きだの愛してるだのほざいておきながら、今更になって私を置いて勝手に死ぬなんて許さないんだから……っ!」

「とっとと目を覚まさないと、私、あんたに『別れる』って言うわよ?!それでもいいわけ?!」

「私は、あんたのこと、好きなのに……!ようやく自分の気持ちに気が付いたのに……!勝手に死ぬなんて許さないんだからっ!!!」

「……分かった。あんたがその気なら、私にも考えがある。私は明日またここに来るから、その時になっても目を覚まさないようなら別れるから!私、本気なんだからね?!」


 本音じゃないにしても、意識不明の春人にそんな言葉を投げ付けた次の日……私は再び、天霧総合病院へと足を運んでいた。

 でも、依然として春人は目を覚まさないどころか、ピクリとも動かない。


「春人……」


 どうしたら目覚めてくれる?

 私は春人に謝って、そして、こんな私でもいいのなら、ちゃんとした恋人として春人の隣にいたいの……。

 それなのに、目覚めてくれないのなら、それが出来ないじゃない……!


「春人の、ばかぁ……っ!」


 ほんと、バカ。大バカ!
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