桃の花を溺れるほどに愛してる
 無防備なのをいいことに、ほっぺたをつんつんと突いてみる。……うわ。なにこれ。マシュマロみたい。

 自分のほっぺたと比べてみるけど、やっぱり春人のほっぺたの方がぷにぷにしていて柔らかい……。

 なぜっ?!


「ん……」


 あっ。ヤバ。起こしちゃ――えっ?

 いきなり春人に腕を掴まれたかと思いきや、そのまま引き寄せられて……いつの間にか、私は春人の腕の中にすっぽりと入ってしまっていた。

 ――って、ちょっ!ちょーっ!ヤバくない?!コレ、ヤバくないっ?!

 春人の体温が全身に感じられるし、何より吐息が!春人の吐息が私の耳に直に当たっている……!


「はると……?」

「すー、すー」


 寝てるし。

 えっ、コレは無意識なのか?それとも寝ぼけてこうなったのか……?

 なんにせよ、このままじゃあ色々とまずいんですけど。


「春人……ねぇ、春人ったら」

「んぅーっ……」

「解放してくれないと、困るんだけど……」

「……んぅー?んー……んっ?」


 目をぱちりと開けた春人と、目が合った。しかも、鼻と鼻がくっつくんじゃないかー?って思うくらいには近距離。

 こんな間近に、かっこよくて綺麗な春人の顔があるなんて……。

 心臓が破裂しそうです。
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